DESTROYER〜破壊する者〜第七話後編
2006年7月17日 DESTROYER〜破壊する者〜
第二章第七話「思惑」後編
八草は昔を思い出すような遠い目をし、自らの昔の傷をえぐる様な表情で語り始めた。
「俺がここに来たのは、お前と同じ高校二年生の時だ。
高校二年生の春に俺は、東京都で起きた[連続列車爆破事件]に巻き込まれたんだ。
お前も知っているだろう?この事件の事は。」
香織は静かに頷くと重い口を開け、語り始めた。
「確かその事件って、テロだったんですよね。
規模は極めて大きく、爆破された列車は10以上と聞きます。
そして死傷者1万人にも上ったって・・・」
八草は、香織の話をそこまで聞くと、首を横に振った。
「いや、2万人だ」
「に、二万人・・・・ですか?」
香織は唖然としていた。
確かに記憶は正しいはずだ、と何回も思い返した。
何故ならあの事件で自分の友の命を奪われ、何回も新聞を読み返したのだから・・・
「そう、二万人だ・・・新聞では一万人と情報操作されていたから、驚くのもしょうがない。
そして俺は・・・その隠された二万人の中の一人だったんだ。
事件が起きて、次目覚めた場所はここだった・・・だから、ほとんどお前たちとここまでの境遇は一緒だったんだ。」
・・・・・・周りには今まで感じたこともないような重い空気が流れ、それは自分の知っている世界の雰囲気なのかと疑うほどであった。明るく楽しい世界という理想郷が香織の頭の中で崩れゆき、香織は今までいた世界との離別を早急に迫られていた。
「それじゃあ、私たちには・・・もう戦うしか道はないって事ですか?!!」
夜の静寂と、公園という場に似合わないほどの重い空気は、香織の声で一気に吹き飛んだ。
「だって・・・私たちはこの前まで明るい明日を信じて、明日に希望を持って生きてきたんです!それが急に、私たちに戦え?生死が飛び交う戦場に行けと先生は言うんですか?!」
そう大声で必死に訴える香織の言葉を聞いて、八草は香織の方を一点に見つめた。
「そうだ・・・俺が歩んだ道をお前たちに強要するわけじゃない。
だが、香織という人間が香織として生きている理由を知るためにはそうしなければならないんだ。たとえ生きる場所が明るく希望に満ち溢れた場所ではなく、常に血が流れている場所であっても・・・」
「だって、自分で自分が怖いなんて思ったことは初めてなの・・・。
自分が何者なのかが全く分からなくて怖くて・・・竜や皆とまた会いたいって思うのに行動できないの・・・。」
そう言いながら香織は泣いていた・・・それはこの事件に巻き込まれた自分の境遇に対してなのか、自分の中に潜む何かに怯えていたのか・・・香織自身にも分からなかった。
「俺が守ってやるから安心しろ・・・。
お前は絶対に死なせない、もちろん美咲もだ。
また皆で笑い合える日が来るまで、お前たちを俺が守る!
だから・・・今は俺たちの所にいてくれ・・・頼む!」
八草は心の底から感じる懐古の情と現状の打破という二つの境界にいた。
どちらの感情からこの言葉を発したのかは分からない、しかし守りたいという気持ちは嘘偽りのないものだった。
八草の言葉を聞き、香織は見つめる八草の瞳に宿る強固な意志と愛情の心を感じ取り、遂に香織という人間の一生涯で最大の岐路に終止符を打った。
「先生がそこまで言ってくれるのなら、私は・・・・・・ここにいます。
美咲も分かってくれるはずです。先生のその想い・・・とても伝わってきました・・・。」
そう言うとそのままベンチから立ち上がり、だんだんと明らむ空を見上げた。
淡い朝日に照らされていくその顔は今までになく凛々しく、八草でさえ初めて見た顔であった。まっすぐに太陽が昇り始めている山々を見つめている香織の瞳には少女の面影がうっすらと残りつつも、一人の戦士として目覚め始めていた・・・。
唯一つの不思議な感覚・・・香織の中に芽生えた、既に消えてしまったはずのある懐古の情を残して・・・
続く・・・
今回も本当に稚拙な小説ですいません!!
誤字脱字は突っ込んでやってください(><)
第八話は近々更新予定です!
第二章第七話「思惑」後編
八草は昔を思い出すような遠い目をし、自らの昔の傷をえぐる様な表情で語り始めた。
「俺がここに来たのは、お前と同じ高校二年生の時だ。
高校二年生の春に俺は、東京都で起きた[連続列車爆破事件]に巻き込まれたんだ。
お前も知っているだろう?この事件の事は。」
香織は静かに頷くと重い口を開け、語り始めた。
「確かその事件って、テロだったんですよね。
規模は極めて大きく、爆破された列車は10以上と聞きます。
そして死傷者1万人にも上ったって・・・」
八草は、香織の話をそこまで聞くと、首を横に振った。
「いや、2万人だ」
「に、二万人・・・・ですか?」
香織は唖然としていた。
確かに記憶は正しいはずだ、と何回も思い返した。
何故ならあの事件で自分の友の命を奪われ、何回も新聞を読み返したのだから・・・
「そう、二万人だ・・・新聞では一万人と情報操作されていたから、驚くのもしょうがない。
そして俺は・・・その隠された二万人の中の一人だったんだ。
事件が起きて、次目覚めた場所はここだった・・・だから、ほとんどお前たちとここまでの境遇は一緒だったんだ。」
・・・・・・周りには今まで感じたこともないような重い空気が流れ、それは自分の知っている世界の雰囲気なのかと疑うほどであった。明るく楽しい世界という理想郷が香織の頭の中で崩れゆき、香織は今までいた世界との離別を早急に迫られていた。
「それじゃあ、私たちには・・・もう戦うしか道はないって事ですか?!!」
夜の静寂と、公園という場に似合わないほどの重い空気は、香織の声で一気に吹き飛んだ。
「だって・・・私たちはこの前まで明るい明日を信じて、明日に希望を持って生きてきたんです!それが急に、私たちに戦え?生死が飛び交う戦場に行けと先生は言うんですか?!」
そう大声で必死に訴える香織の言葉を聞いて、八草は香織の方を一点に見つめた。
「そうだ・・・俺が歩んだ道をお前たちに強要するわけじゃない。
だが、香織という人間が香織として生きている理由を知るためにはそうしなければならないんだ。たとえ生きる場所が明るく希望に満ち溢れた場所ではなく、常に血が流れている場所であっても・・・」
「だって、自分で自分が怖いなんて思ったことは初めてなの・・・。
自分が何者なのかが全く分からなくて怖くて・・・竜や皆とまた会いたいって思うのに行動できないの・・・。」
そう言いながら香織は泣いていた・・・それはこの事件に巻き込まれた自分の境遇に対してなのか、自分の中に潜む何かに怯えていたのか・・・香織自身にも分からなかった。
「俺が守ってやるから安心しろ・・・。
お前は絶対に死なせない、もちろん美咲もだ。
また皆で笑い合える日が来るまで、お前たちを俺が守る!
だから・・・今は俺たちの所にいてくれ・・・頼む!」
八草は心の底から感じる懐古の情と現状の打破という二つの境界にいた。
どちらの感情からこの言葉を発したのかは分からない、しかし守りたいという気持ちは嘘偽りのないものだった。
八草の言葉を聞き、香織は見つめる八草の瞳に宿る強固な意志と愛情の心を感じ取り、遂に香織という人間の一生涯で最大の岐路に終止符を打った。
「先生がそこまで言ってくれるのなら、私は・・・・・・ここにいます。
美咲も分かってくれるはずです。先生のその想い・・・とても伝わってきました・・・。」
そう言うとそのままベンチから立ち上がり、だんだんと明らむ空を見上げた。
淡い朝日に照らされていくその顔は今までになく凛々しく、八草でさえ初めて見た顔であった。まっすぐに太陽が昇り始めている山々を見つめている香織の瞳には少女の面影がうっすらと残りつつも、一人の戦士として目覚め始めていた・・・。
唯一つの不思議な感覚・・・香織の中に芽生えた、既に消えてしまったはずのある懐古の情を残して・・・
続く・・・
今回も本当に稚拙な小説ですいません!!
誤字脱字は突っ込んでやってください(><)
第八話は近々更新予定です!
コメント