DESTROYER〜破壊する者〜
  
      第二章 第七話「思惑」前編

その夜、香織は窓から射し込む月の光で目を覚ました。
昼に語られた真実に未だ疑心はあるものの、自分では想像することさえ出来ない大きな渦に巻き込まれてしまったということには気付いていた。

「私たちの居場所ってここにしかないのかな」

そんな疑問を香織は独り言として呟いていた。
そんなことばかり考えていた香織は病室という空間が嫌になり、外の風にでも当たろうと思い立った。
ゆっくりと体を起き上がらせ、体温で温まった布団の中から冷たい床の上に足を移動させた。足にはひんやりとした感覚を感じ、それと同時に今の自分たちのいる世界もこの床と同じ冷たく冷酷なものなのだと香織は体と心、両方で感じていた。

「絶望的ってこういうことかしらね」

今の香織には笑みのない皮肉を言うのが精一杯だった・・・。

香織は、昼に病室から眺めていた中庭へと来た。
そこには、多くの木があり、中央には子どもが遊ぶためなのか砂場とブランコが設置してあり、中庭というより自然に囲まれた公園というべきところだった。
また、大人も休憩できるようにベンチも設けてあった。

「あそこならゆっくり考えられそうね」

そう香織は呟きながらベンチの方へ歩いて行った。
そうして木の一番近くに設置されたベンチに座ると、夜空に赤く輝く紅月を眺めながら
ため息をついた。

「私の居場所ってここにしかないのかなぁ」

そう思い悩みながら考え込んでいた。

「いっその事協力すれば、何かが変わっていいと思うんだけ
ど・・・」

「ん?・・・いいと思う?」

「そういいと思うの・・・って!」

その言葉を言うなり後ろを振り返ると、深刻そうな顔で立っている八草の姿があった。その顔は香織が通っていた学校でも見せたことのないような表情であった。

「な・・・何でここに?」

「それはだな・・・つまり、お前の事が心配でな」

そう言うと八草は香織の隣に座った。
しかし、香織は昼の出来事もあり、八草の顔を見れずにそっぽを向いた。

「お前がそう悩むのは無理もない」

そっぽを向いた香織だったが、突然の気遣いの言葉に香織は驚きを隠せず、八草の方へ顔を向けた。
八草は待っていましたとばかりに香織の顔に微笑み、語り始めた。
「やっと、顔を見せてくれたな。これで話せるというものだ。
俺もお前ぐらいの歳、というか7〜8歳ぐらいしか離れていないが、そういう事を考えていたものだ。私も人間兵器のようなものだからな。」

香織は人間兵器という言葉に冷たさと痛みとを感じると共に、八草も自分と同じなのかという疑問に突き当たった。

「先生も・・・私と同じなんですか?」

香織は無意識のうちにそう尋ねていた・・・

                    後編へ続く・・・

今回も稚拙な小説ですいません!!
誤字脱字は突っ込んでやってください(><)
後編は近々更新予定です!

それでは、また更新する日まで!

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