DESTROYER〜破壊する者〜第六話後編です!
2005年7月16日 趣味DESTROYER〜破壊する者〜
第二章「死する時」 第六話「迷走」後編
「どういうことですか・・・?」
と香織は怪しむように聞いた。
源はこれ以上事実を隠すべきではないと判断し、語り始めた。
「我々は新人類と戦うために組織された軍だ・・・。」
それを聞いた香織は間髪入れずにこう答えた。
「でも!日本は軍隊を持たないと憲法で決められたはずじゃ・・・?!」
そう確かそうだった・・そう思いながら源に投げかけた問いの答えは
あまりに残酷であった。
「それは、何十年も前の話だ・・。今、我々が持ってはならないのは「核」
だけなんだ。軍隊なんぞどこの国にもある・・そうしなければ「国」がなくなってしまうからな。もうこの地球で生き残っている土地は数少ない・・汚染地域の方が格段に多いというのが現状なのだ。だから汚染地域でもそうでない地域でも生きていける「新人類」は今、私達旧人類の抹消計画に入っている・・・自分たちが新しき世代だと言ってな。だから、それから国を守るには軍隊を持つのは当たり前の行為だ。」
「そんな!!」
美咲が源の方をみて、そんな事信じられないという顔をしていた。
「それだったら、私達が今まで生きてきた生活は何だったの?今まで教えられてきたものは?外国への移動は制限されていたのは知ってる・・でもそんな状況なんて全然知らなかった!」
美咲の訴えかける声に源はやり場のない思いを胸にしまい俯くしかなかった。
「嘘を教えられてきたのは世界連邦法の基づいて作られた新日本憲法にある
子供が成人するまでは世界の現状や新人類については一切話してはならないという規律があるからだ。」
「う、嘘・・・そんな法律があったなんて・・・」
「本当だ・・・この憲法の条文は普段は教科書にも書かれていない。
今、君達が初めて知るのも当然だ・・・。」
そんな二人のやりとりを見ていた香織は突然こう言った。
「それで・・・八草先生は私達にその仲間に入れと?
そう言いたいんですよね?そうじゃないと助けてもくれないだろうし、こんなに詳細を話してもくれないはずですし・・・。私達が何故あの学校に行くことになったのかや襲撃された詳細な理由は分かりませんが・・・先生は私達に軍に入れと言いたいんでしょう?」
そう源は香織に言われ、源は顔を上げ香織と美咲を見て真実を語る口を開いた。
「・・・率直に言えばそうだ。君達は戦うため、いわば軍に入るためにあの学校に入学したのだから。
香織、美咲・・・私達と一緒に戦ってくれないだろうか?
強制とは言わない、嫌なら断ってくれても構わない・・・考えてみてくれないか?」
この言葉を聞いて香織と美咲は自分達がここにいる本当に意味を少しずつ理解し始め、心に傷跡と自分という存在、生き方への迷いとを痛みと共に感じ始めた。
二人は俯き少し考えた後二人で顔を見合わせた。
香織は源のを向き力ない声で言った。
「先生・・・少しだけ時間を下さい・・・それと二人で考えたいので病室から出て行ってくれませんか・・」
そう言うと香織は窓の外を遠く見つめ、美咲は俯いた。
その様子を見た源は「分かった」とだけ言い残して入ってきた人たちと退室していった。そして、源たちが去った病室で二人の少女は泣いていた・・・。
病室の外でその泣き声を聞いた源は自分と香織との間には今は修復することの出来ない溝ができたことを悟った・・・。
第七話へ続く・・・。
コメント